ニュージーランドの教育力(OECDレポートで分かったこと:その1)
NZの中等教育の国際的評価は?
ニュージーランドでは6〜16歳(5歳から小学教育は受けられます)が義務教育期間。6〜15歳が義務教育である日本とはシステムは若干異なるものの、初等教育、中等教育、高等教育と段階においてよく似ています。教育の充実度についてはOECDの調査結果で比較することもでき(注1)、15歳児童の学習到達度を比較すると(以下の図表をご参照ください)、NZと日本の数値はOECD平均よりも高く、国際的にも高水準なレベルで拮抗しています。
留学するにあたり、渡航当初は語学力不足で授業についていくことが難しいことはありますが、授業内容が難しすぎたり、簡単すぎたりというギャップが少ないため、語学力取得とともに問題や違和感なく学習に取り組むことが可能です。
特筆すべきはNZの私立学校の教育力の高さであり、世界トップレベルの水準を維持しています。プレミアム・エデュケージョンの提携校であるナ・タワ・スクールとハントリー・スクールも国内トップレベルの教育力を誇っています。
(注1)PISA(Programme for International Student Assessmentー読解、数学、科学の3分野での学習到達度を評価する国際教育水準判定プログラム)。2013年の結果でNZの数値が若干低下しましたが、これを機に政府による教育内容のさらなる改善と見直しが図られています。
高校受験がないNZ。普通の留学生も一流校に問題なく入学!
ご周知のとおり、15歳で義務教育が終わる日本では高校に行く必要がありません。その結果として日本では高校には「受験」して入学することになりますが、16歳までが義務教育のNZでは受験はなく、高校は小中学校と同じく学区制(スクールゾーン)になるため、居住エリアの高校に行くことになります(注2)。ただし、OECDレポートの中で報告されているように、NZは加盟国の中でも特に政府が各学校に教育運営方針を委ねている国であり、理事会や校長の教育方針が色濃く反映された校風、プログラム内容になるのが特長です。各自治体の教育委員会が権限を持つ日本的教育とは根本がここで異なると言えるでしょう。公立学校と言えどもNZの高校は多種多様です。大学進学や国際教育に力を入れている学校、日本のように商業・工業高校という明確な違いはありませんが実践教育に力を入れている学校等があります。親が子供に行かせたいと思う高校が居住地区になければ、希望する学校のある地区に「引越し」をするケースも珍しくありません。
嬉しいことに中・高留学には入学時の「受験」や「スクールゾーン」、あるいは大学入学に必要なTOEFLなどの英語力判定テストなどの壁がありません。プレミアム・エデュケーションの提携校を例に挙げてみれば、ボーイズ・ハイスクールもガールズ・ハイスクールも、数多くの起業家や政治家、研究者を排出してきた名門校であり、日本ならば「偏差値が高い」入学難易度が高い学校として認識されるのでしょうが、海外からはごく「普通」の子供が「正規生徒」として入学することができます。
(注2)公立の教育機関のみ当てはまります。また親や親族が卒業生の場合、居住地区が違っても入学が可能ですが、血縁度によって優先度が変わってきます。
NZの学校の先生とは?
NZの先生はバックグラウンドや経験もさまざま。日本の大多数の先生のような教育学部出身で新卒から先生として着任というのは、データではありませんが、ニュージーランドでは稀なのではないでしょうか。元警察官、元ビジネスマン、元プロスポーツ選手、元主婦…なども見かけます。NZでは「安定」しているからという理由で教師になる人は比較的に少ないようです。「子供が好き」「この国の将来を担う子供を教えたい」から高給を捨ててまで教師になったという話は多く聞かれます。先生になった時点で人生の経験度も高く、学業だけでない、「生きること」を教えられるのもNZの先生ならでは。NZで教師になるためには、大学院レベルの教師資格取得プログラムで学位を取得しなければなりませんが、学士課程での専攻は問わないため、このような幅広い人材を確保できるのです。NZ政府教育省運営サイトEDUCATION COUNTSによると97%の教師が自己啓発や成長のためのトレーニングを受けたり、ワークショップに参加したりと、常に教育力の向上と改善に努めています。
この記事は: ニュージーランドの教育力(OECDレポートで分かったこと:その2) 日本人の弱い部分を伸ばすのに絶好な機会 に続きます。