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ニュージーランド卵事情

2023年がスタートしました、今年もよろしくお願いします。


 未だに感染者や死者が出てい全世界を席巻したコロナも少し落ち着きを見せ、日本をはじめニュージーランドも国境を開け、人々の往来が戻ってきましたね。ニュージーランドでも現在感染者が増えていますが、病院など一部を除きマスクの着用義務もなくなり、街中でマスクをしている人を見かけることは滅多にありません。留学生やワーキングホリデーの若者、そしてワークビザで入国する人も少しづつ増えてきました。徐々にではありますが、以前の活気が戻りつつあります。

 さて今回は卵のお話です。現在スーパーマーケットの卵の棚は空っぽになっているところや、あってもお一人様2パックまでなどとされ卵大乱の様相を呈しています。理由は2022年12月31日をもって、ニュージーランドではケージエッグが禁止となるため、供給量が大幅に減っているのです。ケージエッグとは別名バタリーケージエッグとも言われ、現代の工場型養鶏を代表するシステムです。

 鶏1羽あたりの飼育スペースは370平方センチメールから430平方センチメールと非常に小さく(B5用紙程度の大きさ)、効率を最優先に考えられています。皆さんもテレビなどで見た事があるかもしれませんが、ケージの中に上下左右にずらっと並んだ鶏がいるあれですね。これがアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、世界的に禁止される流れがおきており、ニュージーランドでもその影響を受けました。ニュージーランドでは2012年に発表され、10年間の猶予の末ついに施行となります。全てのケージ飼育が禁止されたわけではなく、コロニーエッグと言われる、鶏1羽あたり750平方センチメートルの広さを有している飼育方法は、引き続き可能となっています。2012年時点では75%の養鶏業者が、84%のバタリーケージエッグを生産していました。

 これらの養鶏業者は鶏の飼育方法をバタリーケージエッグからコロニーケージエッグまたはバーンエッグ(平飼い)、フリーレンジエッグ(放し飼い)などに変更せざる得ませんでした。バーンエッグやフリーレンジエッグはケージエッグに比べ非効率なため、多くの業者は効率を考えコロニーエッグ用の施設に改良をしていきました。しかしすべての業者が改良を終えたわけではなく、また1日でパッと改良ができるわけでもなく、禁止日を前にして卵の供給量が大きく落ち込んでいるのです。

 またこの改良には莫大な費用が掛かるため、卵の値段が上昇傾向にあり、市民生活は大きな打撃を受けています。さらに卵の供給を不安にする材料があります。バタリーケージエッグ禁止が発表されて以降多くの業者がコロニーエッグ用に改良したと書きましたが、この改良後に大手のスーパーマーケット2社が2025年(2社のうち1社は2027年)までに自社のスーパーマーケットで売る卵を完全にケージフリー(バーンまたはフリーレンジ)にすると発表したのです。これによってコロニーエッグに改良した業者はバーンもしくはフリーレンジ用に再度改良しなければなりません。これには新たに広大な土地が必要となり、費用もコロニーに改良した時とは桁違いなため、場合によっては養鶏を辞める業者も出てくる可能性があります。数年後には卵1個100円の時代が来るかもしれません…



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